開催レポート
(ふとんリサイクル推進協議会 親松徳二)
わた摘みからふとん作りまでのいにしえのコースを、現代に蘇らせ、参加者に実体験していただこうという、大変欲張った内容のイベントを11月13日、都立木場公園で開催いたしました。タイトルは「蘇るわたの文化」と名付け、〜わた摘みからふとん作りまで〜 がサブタイトルです。おかげさまで大変多くのお申し込みをいただき、会場スペースからお申し込みをお断りしなければならなくなってしまったほどでした。
このコースのメインは、鴨川和棉農園の田畑健さんの指導による、わた摘み、わた繰り、わた打ち、糸紡ぎという一連の伝統技法の再現です。公園内にお借りしている小さなわた畑でわたを収穫し(わた摘み)、それを農家で実際使われていた繰り器で繊維と種に分離します(わた繰り)。そして繊維の固まりを解きほぐす「わた打ち弓」の実演(わた打ち)で、昔ながらのわた作り工程が会場で再現されました。
それに今回は、昭和初期まで続けられていた、綿打ち職人の貴重な綿打ち作業の様子をビデオで見ることが出来ました。ただ、今年は酷暑のため棉の成長が早く、わた畑では皆さんに摘んでいただく棉の実が数個しか見つからず、わた摘みを体験していただけなかったことが残念でした。
わた打ちでふかふかになったわたはそのままで「布団わた」ですが、これを紡げば糸になります。当日は農家で使われていた糸車と、インドのガンジーが貧しい人々に奨励し、自らも日課にしていた「チャルカ」という携帯型の糸紡ぎ器の実演が行われました。
そして後半は、東京蒲団技術学院講師の澤田清子さんによる座布団作りの実際です。使用したわたは、古いふとんのわたを打ち直したリサイクルわたです。澤田先生の鮮やかな手さばきに感嘆しつつ、参加者お一人ずつ小さな座布団を完成させてお持ち帰りいただきました。
こんな非効率な作業の再現ですが、わたを通してスローライフの原点にある自然の恵みの豊かさや、暮らしの中の本当の喜びを思い起こしていただきたい、と言うのがこの講座の開催趣旨です。とはいえもともとは一日コースで企画した内容を午後からの半日コースに圧縮してしまったため、「超スピードのスローライフ体験会」になってしまいました。
今回再現できた工程はわたにまつわる奥深い暮らしの営みのほんの入り口に過ぎません。絶滅寸前になっていた日本古来種のわたも、田畑さんの23年間にわたる地道な努力によって、日本各地で栽培が始まっています。わたしたちの先代がわたと一緒に営んでいた、こころ豊かな暮らし方も今蘇りが始まったところです。
このイベントは、江東区エコ・リサイクル主催で、ふとんリサイクル推進協議会が企画、運営いたしました。いろんな不手際のあったイベントでしたが、参加者アンケートでは「大変よかった」に○がほとんどで、お礼の電話などもいただいて、次のプランが浮かんできています。
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